黄色地に、片足を上げた赤い雄鶏。ワロンの旗、雄々しい雄鶏(コック・アルディ)です。ベルギー南部、フランス語を話す地域の旗です。黒いライオンのフランドル(北)に対して、赤い雄鶏のワロン(南)という、ベルギーを2つに分けるもう一方の旗で、フランス的な雄鶏を掲げた1枚。今回はそんなワロンの旗の話です。


まずは構成のおさらい

ワロン旗の構成は、次のとおりです。

  • 背景:黄色
  • 中央:赤い雄鶏(旗竿側を向き、右足を上げる)

色とシンボルの意味は、以下のとおりです。

  • 赤と黄:リエージュの街の色
  • 雄々しい雄鶏:ワロンの誇りと自由
  • 掛け声・標語:「Liberté(自由)」、「ワロンよ永遠なれ」

黄色地に、片足を上げた赤い雄鶏を描いた、フランス語圏ベルギーの旗です。


「黒いライオンと、赤い雄鶏」 ── ベルギーの2つの顔

ワロン旗で最も大切なのは、フランドルとの対比です。

フランドル vs ワロン

ベルギーは、2つの言語共同体に分かれています。北のフランドル(オランダ語)は黒いライオン、南のワロン(フランス語)は赤い雄鶏です。

フランドルの黒いライオンと、ワロンの赤い雄鶏。この2つがベルギーを象徴するという、はたログでつながる対の関係です。

フランス的な雄鶏

なぜ雄鶏なのかは、フランスとのつながりにあります。雄鶏はガリアの雄鶏(ゴーロワ)であり、フランスの象徴でもあります。フランス語を話すワロンの人々は、フランス革命の理想に共感する親仏的な傾向がありました。

フランス語の地域が、フランスの象徴である雄鶏を選んだという、自然な流れです。


「リエージュの自由」 ── 赤と黄の由来

ワロン旗の色の由来を見ていきます。

リエージュの色

赤と黄は、リエージュに由来します。これらの色は、歴史的にリエージュ司教領の色でした。自由のための闘いの歴史(人権宣言など)が、色・掛け声・標語の源になっています。

実は近代生まれの雄鶏

雄鶏は、意外と新しいシンボルです。雄鶏に中世の前例はなく、1905年にリエージュのワロン連盟が初めて掲げた、近代ワロン運動のシンボルでした。むしろ中世のナミュール伯の紋章は、黒いライオンだったのです。


1913年 ── 画家がデザイン

ワロン旗の制定の経緯を見ていきます。

ピエール・ポーリュスの絵

この旗は、1912〜13年に画家ピエール・ポーリュスの絵をもとにデザインされました。そして1913年、第1回ワロン会議で採択されています。

公式化

その後、1975年にフランス語文化共同体の紋章として初めて公式化されました。さらに1998年には、ワロン地域の旗としても採択されています。


ワロンという地域

ワロンの基本情報です。

  • 正式名:ワロン地域(Wallonie)
  • 州都:ナミュール(Namur)
  • 面積:約1.7万km²
  • 人口:約370万人
  • 公用語:フランス語(一部でドイツ語も)
  • 法的地位:ベルギーの地域

「フランス語のベルギー」

ワロンは、ベルギー南部の地域です。フランス語を話す地域で、北のオランダ語のフランドルと対をなしています。

「ヨーロッパ最初の工業地帯」

ワロンの歴史を見ていきます。19世紀、石炭と鉄鋼でヨーロッパ大陸で最初に工業化した地域の1つでした。リエージュやシャルルロワなどの工業都市があり、ムーズ川沿いの産業地帯が広がっています。


まとめ:雄々しい赤い雄鶏、ワロン

今回のワロン旗のまとめです。

  • 黄色地+片足を上げた赤い雄鶏(雄々しい雄鶏/コック・アルディ)
  • 赤と黄=リエージュの色、雄鶏=ワロンの誇りと自由、掛け声「Liberté(自由)」、標語「ワロンよ永遠なれ」
  • ベルギーは北のフランドル(オランダ語・黒いライオン)と南のワロン(フランス語・赤い雄鶏)に分かれる
  • 雄鶏はガリアの雄鶏=フランスの象徴、フランス語圏ワロンの親仏的傾向を反映
  • 雄鶏は中世の紋章ではなく、1905年にリエージュのワロン連盟が提案した近代ワロン運動のシンボル(中世ナミュール伯はむしろ黒いライオン)
  • 1912〜13年、画家ピエール・ポーリュスの絵をもとにデザイン、1913年の第1回ワロン会議で採択
  • 1975年に仏語文化共同体の紋章として公式化、1998年にワロン地域の旗にも
  • フランス語を話すベルギー南部、19世紀に石炭・鉄鋼でヨーロッパ大陸最初に工業化
  • リエージュ・シャルルロワ、ムーズ川沿いの産業地帯
  • 面積約1.7万km²、人口約370万人、州都ナミュール

雄々しい赤い雄鶏。ワロンの旗は、フランドルの黒いライオンと対をなす、フランス語圏ベルギーの誇りを込めた1枚です。