白地に、翼を広げて立つ銀色のペガサス(翼の馬)、上下に赤い帯。トスカーナの旗です。イタリア中部、フィレンツェを擁するルネサンス発祥の地の旗で、このペガサスは、ルネサンスの巨匠チェッリーニが手がけたとされるメダルがもとになっています。芸術の地にふさわしい、インスピレーションと自由の象徴の1枚。今回はそんなトスカーナの旗の話です。


まずは構成のおさらい

トスカーナ旗の構成は、次のとおりです。

  • 中央:白地に、翼を広げて立つ銀色のペガサス
  • 上下:赤い帯

色とシンボルの意味は、以下のとおりです。

  • ペガサス:インスピレーション・自由・芸術の卓越
  • 赤と白:トスカーナの古い色(969年に遡る)

白地に銀のペガサス、上下に赤い帯。芸術の地らしい1枚です。


「ペガサス」 ── 芸術とインスピレーションの象徴

トスカーナ旗の主役、ペガサスを見ていきます。

翼を持つ馬

中央のペガサスは、ギリシャ神話に登場する翼を持つ馬です。インスピレーション・自由・芸術の卓越を表し、平和と、善が悪に打ち勝つことの象徴でもあります。芸術と創造の象徴であるペガサスが、ルネサンスの地トスカーナの旗に描かれているのは、ぴったりの組み合わせです。フィレンツェやシエナの芸術の伝統とも結びついています。


「ルネサンスの巨匠のメダルがもと」

トスカーナ旗の、面白い由来を見ていきます。

チェッリーニのメダル

旗のペガサスは、ルネサンスの芸術作品から来ています。1537年、フィレンツェの芸術家ベンヴェヌート・チェッリーニが手がけたとされるメダルのペガサスが、そのもとです。チェッリーニは、ルネサンスを代表する金細工師・彫刻家でした。

言葉の発展を称えて

そのメダルは、ある人物を称えるために作られました。枢機卿ピエトロ・ベンボです。ベンボは、トスカーナ語を文学の言葉として発展させた立役者で、その創造との結びつきから、ペガサスで称えられました。旗のペガサスそのものがルネサンスの芸術作品という、芸術の地ならではの起源です。しかもトスカーナ語(フィレンツェの言葉)は、後の標準イタリア語のもとになった言葉でもあります。


「赤と白」 ── 1000年以上前の色

トスカーナの赤と白は、少なくとも969年、トスカーナ辺境伯ウーゴの時代に遡ります。彼は、赤と白の縦縞の盾を紋章にしていました。


1975年・1995年 ── 旗の制定

トスカーナ旗が定まるまでの歴史を見ていきます。1975年5月20日、ペガサスの上に「Regione Toscana」の文字を添えたゴンファローネ(旗)として登場し、1995年2月3日に、トスカーナの旗として正式採択されました。


トスカーナという地域

トスカーナの基本情報です。

  • 正式名:トスカーナ州(Toscana)
  • 州都:フィレンツェ(Firenze)
  • 面積:約2.3万km²
  • 人口:約370万人
  • 公用語:イタリア語
  • 法的地位:イタリアの州

「ルネサンス発祥の地」

フィレンツェは、ルネサンス発祥の地であり、メディチ家の街です。ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ボッティチェリ、ダンテといった巨匠を生みました。ピサの斜塔やシエナ、キャンティワイン、トスカーナの田園も有名です。

「標準イタリア語のふるさと」

ダンテらが書いたトスカーナ(フィレンツェ)の言葉が、現代の標準イタリア語のもとになりました。


まとめ:翼の馬ペガサス、ルネサンスの地トスカーナ

今回のトスカーナ旗のまとめです。

  • 中央に白地に翼を広げて立つ銀色のペガサス+上下に赤い帯
  • ペガサス=インスピレーション・自由・芸術の卓越、平和と善の勝利の象徴
  • フィレンツェ・シエナの芸術の伝統と結びつく
  • ペガサスは1537年、ルネサンスの巨匠ベンヴェヌート・チェッリーニが手がけたとされるメダルに由来
  • メダルは枢機卿ピエトロ・ベンボ(トスカーナ語を文学の言葉に発展)を称えるため
  • 旗のペガサスそのものがルネサンスの芸術作品、トスカーナ語は標準イタリア語のもと
  • 赤と白は少なくとも969年、トスカーナ辺境伯ウーゴの時代に遡る
  • 1975年5月20日にゴンファローネとして登場、1995年2月3日に正式採択
  • 州都フィレンツェはルネサンス発祥の地・メディチ家の街
  • ミケランジェロ・ダ・ヴィンチ・ボッティチェリ・ダンテ、ピサの斜塔、シエナ、キャンティ
  • ダンテらのトスカーナの言葉が現代の標準イタリア語のもと
  • 面積約2.3万km²、人口約370万人、州都フィレンツェ

翼を持つ馬ペガサス、ルネサンスの地。トスカーナの旗は、芸術と創造の象徴を、ルネサンスの巨匠が刻んだ姿で掲げる1枚です。