白と水色の横二色、中央に国章。3つの塔と「LIBERTAS(自由)」のリボンが描かれた、サンマリノの国旗です。イタリアに完全に囲まれた、世界最古の共和国の旗。301年建国を主張し、1700年以上の独立を維持してきた、世界で最も古い独立国家のひとつです。3つの塔は、ティタノ山の3つの要塞を象徴しています。今回はそんなサンマリノ国旗の話です。
まずは構成のおさらい
サンマリノ国旗は、横2本の帯(上から白・水色(ライトブルー))の中央に、サンマリノ国章を配した構成です。
国章は、次の要素から成ります。
- 盾:水色地に3つの塔。ティタノ山の3つの要塞(グアイタ・チェスタ・モンターレ)
- 塔の上:羽根飾り(駝鳥の羽)
- 盾の周り:月桂樹(勝利)とオーク(強さ)の枝
- 盾の上:王冠
- 盾の下:「LIBERTAS(ラテン語で「自由」)」のリボン
色とシンボルの意味は、次のとおりです。
- 白:平和、純粋さ、ティタノ山を覆う雪・雲
- 水色:空、自由
3つの塔は1700年の独立、LIBERTASはサンマリノの精神を表す、世界で最も古い共和国の象徴です。
「世界最古の共和国」 ── 301年建国
サンマリノの最大の誇りが、その建国の古さです。
聖マリヌス
聖マリヌス(Saint Marinus、275-366)は、現クロアチア出身の石工でした。ローマ皇帝ディオクレティアヌスのキリスト教徒迫害を逃れてティタノ山に隠遁し、のちに聖人化されて「聖マリヌス」と呼ばれるようになります。
301年9月3日、建国
伝説によれば、301年9月3日、聖マリヌスがサンマリノを建国しました。ティタノ山の頂上に小さなコミュニティを設立し、ここに自由を見つけたいと願ったと伝えられています。
1700年以上前の建国とされる、世界最古の現存する独立共和国。それがサンマリノです。
ただし、現実には建国の正確な日付は伝説であり、歴史的に検証可能な最古の共和国ではないかもしれません。諸説あります。
1797年2月12日 ── 現代版の色
サンマリノ国旗の色の起源を見ていきます。
1797年、白と水色のコケード
1797年2月12日、サンマリノは正式なコケード(徽章)として白と水色を採用しました。白が平和、水色が自由を表します。
1862年4月6日、国章
そして1862年4月6日、現代版の国章が制定されます。3つの塔に月桂樹、オーク、王冠、そしてLIBERTASを組み合わせたものです。
1862年から、現代のサンマリノ国旗が完成したというのが、現代の制定史です。
3つの塔 ── ティタノ山の要塞
サンマリノ国旗の中心が、ティタノ山の3つの塔です。
ティタノ山
ティタノ山(Monte Titano、739m)は、サンマリノ国土の中心にそびえる、アペニン山脈の一部です。サンマリノを軍事的に守ってきた山でもあります。
3つの塔
ティタノ山の頂上には、3つの塔(Three Towers)が建っています。
- グアイタ(Guaita、11世紀):最も古い塔
- チェスタ(Cesta、13世紀):最高地点
- モンターレ(Montale、14世紀):最も小さい塔
3つの塔がサンマリノを侵略から守ってきたというのが、現代の象徴です。ユネスコ世界遺産にも登録されています。
サンマリノという国
サンマリノの基本情報です。
- 正式名:サンマリノ共和国(Repubblica di San Marino)
- 首都:サンマリノ(San Marino、市と国が同名)
- 面積:約61km²(世界で5番目に小さい)
- 人口:約3.4万人
- 公用語:イタリア語
- 宗教:ローマ・カトリック
「世界最古の現存する共和国」
サンマリノは、世界最古の共和国です。301年建国を主張し、「Most Serene Republic of San Marino(最も穏やかな共和国)」を名乗ります。ティタノ山と3つの塔は、ユネスコ世界遺産に登録されています。
「世界で5番目に小さい国」
サンマリノは、世界で5番目に小さい独立国です。
- バチカン市国:0.49km²
- モナコ:2.02km²
- ナウル:21km²
- ツバル:26km²
- サンマリノ:61km²
「イタリアに完全に囲まれた」
サンマリノは、イタリアに完全に囲まれた完全囲繞国(Enclave)です。レソト、バチカンと並ぶ、3つの完全囲繞国のひとつです。
「2人の元首」
サンマリノは、独特の政治制度を持っています。2人の執政(Captains Regent)が共同で国家元首を務め、6ヶ月ごとに交代します。古代ローマの執政官制度を継承した、世界で最も古い民主主義制度のひとつです。
1人ではなく2人の元首、しかも半年ごとに交代するというのは、世界の現代国家のなかで唯一のものです。
「観光の国」
サンマリノの経済は、観光業が中心です。年間約200万人の観光客が訪れ、世界遺産であるティタノ山と3つの塔、そして免税ショッピングが人気を集めています。
ちなみに:「日本との関係」
サンマリノと日本には、深い関係があります。
1934年、外交関係
1934年、日本とサンマリノは外交関係を樹立しました。アジアの大国と、世界最古の共和国との関係です。
「日本人観光客」
そして、サンマリノは日本人観光客にも人気があります。世界最小級の独立国家を訪れるという観光体験が魅力で、イタリア観光の延長で訪問する人も多くいます。
まとめ:1700年の自由、3つの塔の国
今回のサンマリノ国旗のまとめです。
- 白(上)と水色(下)の横二色に、中央のサンマリノ国章
- 1797年2月12日、白と水色のコケードを正式採用
- 1862年4月6日、現代版国章を制定
- 国章は3つの塔(グアイタ・チェスタ・モンターレ)に月桂樹、オーク、王冠、LIBERTAS
- 白は平和・純粋・雪・雲、水色は空・自由
- 「LIBERTAS(自由)」がラテン語で書かれた国是
- 301年9月3日、聖マリヌスがティタノ山で建国(世界最古の現存共和国を主張)
- 「Most Serene Republic of San Marino(最も穏やかな共和国)」
- 面積約61km²、世界で5番目に小さい独立国
- イタリアに完全に囲まれた完全囲繞国
- 2人の執政(Captains Regent)が6ヶ月ごとに交代、古代ローマの執政官制度を継承
- ティタノ山と3つの塔はユネスコ世界遺産
- 1934年、日本との外交関係樹立
1700年前の自由が、現代の国旗に。サンマリノの国旗は、世界最古の共和国の独立と自由を、3つの塔と「LIBERTAS」のリボンに込めた1枚です。