青い地に白い十字、4つの区画それぞれに白いユリの花(フルール・ド・リス)。ケベックの旗、フルーデリゼです。カナダで唯一フランス語を主な言語とする州の旗で、英語の海に囲まれた北米で、フランス系のルーツを誇る旗。カナダで最初に制定された州旗でもある1枚。今回はそんなケベックの旗の話です。
まずは構成のおさらい
ケベック旗(フルーデリゼ)の構成は、次のとおりです。
- 背景:青
- 白い十字:4つの区画に分割
- 各区画:白いユリの花(フルール・ド・リス)
色とシンボルの意味は、以下のとおりです。
- 青地に白い十字:フランス王国の旗に由来します
- 4つの白いユリ:フランス系のルーツ、フランス王家の象徴です
青地に白十字と4つのユリを配した、フランスの記憶を込めた1枚です。名は「フルーデリゼ(ユリで飾られた)」を意味します。
「フルール・ド・リス」 ── フランス王家のユリ
ケベック旗の、中心のシンボルを見ていきます。
フランス王の象徴
フルール・ド・リス(ユリの花)は、中世以来、フランス王が紋章や王笏に用いた象徴です。フランス王家を表すユリでした。
カルティエが立てた十字
そして、北米との繋がりがあります。探検家ジャック・カルティエが、1534年にガスペ湾、1536年にスタダコナ(ケベック市)に十字架を立てました。その十字架にはユリの花が描かれ、フランス王フランソワ1世のために土地を主張したのです。北米にフランスの旗が立てられた最初の記憶が、ユリに込められている、ケベックの原点です。
「カリヨン」 ── 旗の前身を作った司祭
ケベック旗の起源を見ていきます。
教区司祭がデザイン
現代のフルーデリゼの直接の前身が、カリヨンです。サン=ジュードの教区司祭エルフェージュ・フィリアトローが作りました。現代の旗に似ていますが、ユリが四隅にあり、内側を向いていました。
フランスの旗から青と白
デザインの由来をたどると、青地に白い十字は、フランス王国の旗(フランス海軍旗・商船旗)に由来します。
1948年 ── カナダ初の州旗
ケベック旗の制定史を見ていきます。
ユニオン・ジャックに代わる旗を
1947年、新しい州旗を求める動きが起こります。独立系の州議会議員ルネ・シャルーが、不人気だったユニオン・ジャックやカナダ赤旗に代わる州旗を求めました。
1948年1月21日、初掲揚
そして、旗が誕生します。1948年1月21日、ケベック市の議事堂で初めて掲げられました。カナダで最初に公式採択された州旗です。1950年3月9日には使用法が制定されました。カナダで最初の州旗が、フランス系のシンボルだったというのが、ケベックの個性です。
ケベックという地域
ケベックの基本情報です。
- 正式名:ケベック州(Québec)
- 州都:ケベック・シティ(Québec City)、最大都市はモントリオール
- 面積:約154万km²(カナダ最大の州)
- 人口:約900万人
- 公用語:フランス語
- 法的地位:カナダの州
「北米のフランス語圏」
ケベックは、北米で独特の存在です。英語が大多数の北米で、フランス語を主な言語とする州で、独自のフランス系文化を守り続けてきました。
「Je me souviens(我は忘れず)」
ケベックの標語は「Je me souviens(我は忘れず)」です。車のナンバープレートにも刻まれています。
「主権をめぐる議論」
ケベックには、政治的に繊細な話題もあります。ケベックの主権・独立をめぐっては、1980年と1995年に住民投票が行われました。1995年は僅差で「独立しない」が勝ちました。評価は政治的立場で分かれます(諸説あり)。
まとめ:青地に白十字と4つのユリ、ケベック
今回のケベック旗のまとめです。
- 青地+白い十字+4つの区画に白いユリ(フルール・ド・リス)、名は「フルーデリゼ(ユリで飾られた)」
- 青地に白十字=フランス王国の旗(海軍旗・商船旗)に由来、ユリ=フランス王家・フランス系のルーツ
- フルール・ド・リスは中世以来フランス王の象徴
- ジャック・カルティエが1534年ガスペ湾、1536年スタダコナ(ケベック市)に立てた十字架にユリが描かれた
- 直接の前身「カリヨン」は教区司祭エルフェージュ・フィリアトローが制作(ユリが四隅で内向き)
- 1947年、議員ルネ・シャルーがユニオン・ジャックに代わる州旗を求めた
- 1948年1月21日、ケベック市の議事堂で初掲揚、カナダで最初の公式州旗(1950年に使用法)
- 英語が大多数の北米で、フランス語を主な言語とする州
- 標語「Je me souviens(我は忘れず)」
- 主権をめぐり1980年・1995年に住民投票、1995年は僅差で否決(諸説あり)
- カナダ最大の州、面積約154万km²、人口約900万人、州都ケベック・シティ
青地に白十字と、フランス王家のユリ。ケベックの旗は、北米に生きるフランス系の人々の誇りを、ユリの花に込めた1枚です。