赤と白の5本の横帯、左に青い三角形と白い星。プエルトリコの旗、カリブ海のアメリカ自治連邦区の旗です。キューバ国旗とそっくりで、実は赤と青を反転させた姉妹旗です。19世紀、両者が共にスペインからの独立を目指した、連帯の証でもあります。今回はそんなプエルトリコ旗の話です。


まずは構成のおさらい

プエルトリコ旗の構成は、次のとおりです。

  • 横5本の帯:赤と白を交互に(赤3本、白2本)
  • 左側(旗竿側):青い三角形と白い星

色とシンボルの意味は、以下のとおりです。

  • 赤3本:勇敢な戦士の血
  • 白2本:独立後の勝利と平和
  • 青い三角形:空と沿岸の海
  • 白い星:プエルトリコ島

キューバ国旗の赤と青を反転させた姉妹旗であり、世界の旗のなかでも最も有名な「鏡像関係」の1枚です。


「キューバ国旗との姉妹関係」

プエルトリコ旗の、最も有名な特徴を見ていきます。

キューバとプエルトリコ

キューバ国旗とプエルトリコ旗は、色を反転させた関係にあります。

キューバプエルトリコ
横帯青3本+白2本赤3本+白2本
三角形

キューバの青はプエルトリコの赤に、キューバの赤はプエルトリコの青に。両者は、完全な色の反転の関係にあります。

連帯のシンボル

なぜ反転なのか。その背景には、19世紀の独立運動の連帯があります。キューバもプエルトリコも、19世紀末はスペインの植民地でした。両者が共にスペインからの独立を目指すなかで、キューバの旗の色を反転させて、姉妹であるプエルトリコの旗にしたのです。提案者はフランシスコ・ゴンサロ・マリン(Francisco Gonzalo Marín)でした。キューバ記事で紹介したロペスの旗(1849年)が先、プエルトリコ(1895年)が後というのが、両者の関係です。


1895年12月22日 ── ニューヨークでの秘密会議

プエルトリコ旗の起源を見ていきます。

キューバ革命党のプエルトリコ支部

1895年12月22日、ニューヨークのチムニー・コーナー・ホールで秘密会議が開かれました。キューバ革命党に所属するプエルトリコ人たちが集まり、プエルトリコ旗のデザインを承認したのです。キューバ旗が1849年にニューヨークで亡命者の手によってデザインされたのと同じく、プエルトリコ旗もまたニューヨークで誕生しました。両旗とも、ニューヨークの亡命革命家コミュニティから生まれたという、興味深い共通点があります。

1898年、アメリカ領に

そして1898年、米西戦争が起こります。アメリカがスペインに勝利し、キューバは独立しましたが、プエルトリコはアメリカ領となりました。スペインからアメリカへ、植民地の主が変わったのです。キューバは独立国に、プエルトリコはアメリカ領に。ここが、姉妹の分かれ道でした。

1952年、公式採択

そして1952年、プエルトリコが自治連邦区になり、旗が公式に採択されました。長年、独立運動のシンボルとして非公式に使われてきた旗が、1952年に公式の領土旗となったのです。


プエルトリコという領土

プエルトリコの基本情報です。

  • 正式名:プエルトリコ自治連邦区(Commonwealth of Puerto Rico、Estado Libre Asociado)
  • 首都:サンフアン(San Juan)
  • 面積:約9,100km²
  • 人口:約320万人
  • 公用語:スペイン語・英語
  • 法的地位:アメリカ合衆国の自治連邦区(未編入領土)

「プエルトリコ」 ── 豊かな港

国名「プエルトリコ」(Puerto Rico)は、スペイン語で「豊かな港」を意味します。「Puerto」が港、「Rico」が豊かなを表し、合わせて「豊かな港」となります。

「アメリカ市民だが、大統領選挙権なし」

プエルトリコ人は、独特の法的地位に置かれています。アメリカ市民(U.S. citizen)であり、市民権のないアメリカ領サモアとは異なります。しかしプエルトリコ在住の場合、大統領選挙の投票権はありません。連邦議会にも、投票権のある代表はいないのです。アメリカ市民でありながら大統領を選べないという、プエルトリコの複雑な地位がここにあります。

「州昇格・独立をめぐる議論」

プエルトリコには、現代の課題があります。アメリカの51番目の州になるべきか、独立すべきか、それとも現状の自治連邦区を維持すべきか。これまで複数回の住民投票が行われてきましたが、いまだ決着していません。国旗の星はプエルトリコ島を表しますが、その政治的地位は未確定のままというのが、現代プエルトリコです(諸説あり)。

「サルサとレゲトン」

プエルトリコには、世界的に有名な文化があります。キューバと共有するラテン音楽のサルサ、そしてプエルトリコ発祥の音楽ジャンルであるレゲトンです。ラテン・グラミーの中心地でもあります。


まとめ:キューバの姉妹旗、反転した色

今回のプエルトリコ旗のまとめです。

  • 赤と白の5本の横帯(赤3本・白2本)に、左の青い三角形と白い星
  • キューバ国旗の赤と青を反転させた「姉妹旗」
  • 1895年12月22日、ニューヨークのチムニー・コーナー・ホールでキューバ革命党のプエルトリコ人が承認
  • 提案者はフランシスコ・ゴンサロ・マリン
  • 赤は戦士の血、白は勝利と平和、青三角は空と海、白星はプエルトリコ島
  • 19世紀、キューバとプエルトリコが共にスペインからの独立を目指した連帯の証
  • キューバ旗(1849年)が先、プエルトリコ旗(1895年)が後(両方ニューヨークで誕生)
  • 1898年米西戦争でキューバは独立、プエルトリコはアメリカ領に
  • 1952年、自治連邦区になり旗が公式採択
  • 国名「Puerto Rico」はスペイン語「豊かな港」
  • プエルトリコ人はアメリカ市民だが、大統領選挙の投票権なし
  • 州昇格・独立・現状維持をめぐる議論が続く(諸説あり)
  • サルサ・レゲトンなどラテン音楽の中心
  • 面積約9,100km²、人口約320万人、首都サンフアン

キューバの旗の、色を反転した姉妹旗。プエルトリコの旗は、19世紀のカリブ独立運動の連帯を象徴する、世界で最も有名な「鏡像関係」の1枚です。