黒・白・緑の横三色、左に赤い三角形。パレスチナの旗、中東の係争的地位を持つ地域の旗です。汎アラブ色で、ヨルダン・西サハラ・スーダンの旗とよく似ています。1916年のアラブ大反乱の旗が起源の1枚です。今回はそんなパレスチナ旗の話です。
まずは構成のおさらい
パレスチナ旗の構成は、次のとおりです。
- 横3本の帯(上から):黒・白・緑
- 左側(旗竿側):赤い二等辺三角形(旗の約半分まで)
色とシンボルの意味は、以下のとおりです(いずれも汎アラブ色)。
- 黒:アッバース朝(ヨルダン国旗記事でも紹介した4王朝のひとつ)
- 白:ウマイヤ朝
- 緑:ファーティマ朝
- 赤い三角形:ハシム家・アラブ大反乱
ヨルダン(7角星付き)、西サハラ(三日月星付き)、スーダンと並ぶ汎アラブ色の旗ですが、パレスチナは星や紋章がなく、最もシンプルです。
「アラブ大反乱の旗」 ── 共通の起源
パレスチナ旗の起源を見ていきます。
1916年アラブ大反乱
1916年から1918年にかけてのアラブ大反乱が、この旗の起源です(ヨルダン国旗記事でも紹介しました)。これはオスマン帝国からのアラブ独立闘争で、指導者はフセイン・ビン・アリー(メッカのシャリーフ)でした。旗のデザインには、サイクス・ピコ協定の英外交官マーク・サイクスが関与したと伝えられています(諸説あり)。
汎アラブ色の4王朝
汎アラブ色は、4つのイスラム王朝に由来します。黒はアッバース朝、白はウマイヤ朝、緑はファーティマ朝、そして赤はハシム家を表します。ヨルダン記事で詳しく紹介した4王朝にハシム家を加えたもの、それが汎アラブ色です。パレスチナ旗もヨルダン旗も、同じアラブ大反乱の旗が起源となっています。
「汎アラブ旗ファミリー」
アラブ大反乱の旗からは、多くの汎アラブ旗が派生しました。
| 国・地域 | 構成 |
|---|---|
| ヨルダン | 黒白緑+赤三角+7角星 |
| パレスチナ | 黒白緑+赤三角(星なし) |
| 西サハラ | 黒白緑+赤三角+三日月星 |
| スーダン | 赤白黒+緑三角 |
| アラブ首長国連邦 | 赤+緑白黒 |
| クウェート | 緑白赤+黒台形 |
このなかで、パレスチナ旗は汎アラブ旗の最もシンプルな形だというのが、その特徴です。
1964年 ── PLOによる採択
パレスチナ旗の、現代の経緯を見ていきます。
1936-1939年、アラブ反乱
1936年から1939年にかけて、パレスチナでアラブ反乱が起こり、このとき黒白緑に赤三角の旗が使われました。
1964年12月1日、PLOが採択
そして1964年12月1日、パレスチナ解放機構(PLO)が、この旗を「パレスチナ人民の旗」として正式に採択しました。以後、パレスチナのナショナル・シンボルとなっています。
国際的地位
パレスチナの国際的地位は、複雑です。1988年にパレスチナ独立宣言が出され、2012年には国連オブザーバー国家に格上げされました。約140カ国がパレスチナを国家承認していますが、イスラエルとの間で領土・主権をめぐる対立が続いています。国際的地位が複雑な地域として、コソボ・台湾・西サハラと並びます。諸説あり、評価は政治的立場により大きく異なります。歴史的経緯や現状の評価は極めてセンシティブな問題であり、本記事は旗のデザインと汎アラブ色の系譜という事実に focus しています。
パレスチナという地域
パレスチナの基本情報です。
- 名称:パレスチナ国(State of Palestine)
- 行政中心:ラマッラー(事実上)/東エルサレム(主張)
- 地域:ヨルダン川西岸+ガザ地区
- 公用語:アラビア語
- 宗教:イスラム教(多数)、キリスト教(少数)
- 法的地位:国連オブザーバー国家(部分的承認)
「2つの地域」
パレスチナは、地理的に2つに分かれています。ヨルダン川西岸(West Bank)とガザ地区(Gaza Strip)であり、その間にはイスラエルが位置しています。
「エルサレム」
パレスチナが主張する首都は、東エルサレムです。エルサレムはユダヤ教・キリスト教・イスラム教という3宗教の聖地であり、世界で最も複雑な都市のひとつとされています。国旗の汎アラブ色が表すアラブ民族のアイデンティティ、それこそがパレスチナ旗の核心です。
まとめ:汎アラブ色、アラブ大反乱の遺産
今回のパレスチナ旗のまとめです。
- 黒・白・緑の横三色に、左の赤い三角形(星や紋章なし)
- 1916-1918年のアラブ大反乱の旗が起源
- 黒はアッバース朝、白はウマイヤ朝、緑はファーティマ朝、赤はハシム家(汎アラブ色の4王朝)
- ヨルダン・西サハラ・スーダンと同じアラブ大反乱の旗が起源
- 汎アラブ旗のなかで最もシンプルな形(星や紋章なし)
- 1936-1939年、パレスチナのアラブ反乱で使用
- 1964年12月1日、パレスチナ解放機構(PLO)が正式採択
- 1988年パレスチナ独立宣言、2012年国連オブザーバー国家に
- 約140カ国が国家承認、しかしイスラエルとの対立が続く
- ヨルダン川西岸+ガザ地区の2地域、間にイスラエル
- 主張する首都は東エルサレム(3宗教の聖地)
- 国際的地位・歴史的経緯は極めてセンシティブ(諸説あり、本記事は旗のデザインと汎アラブ色の系譜に focus)
アラブ大反乱から続く、汎アラブ色の旗。パレスチナの旗は、ヨルダン・西サハラと共通の起源を持ち、アラブ民族のアイデンティティを最もシンプルに表現した1枚です。