赤地に、前を向いて歩く2頭の金色のレオパード(ライオン)。ノルマンディーの旗です。フランス北部、英仏海峡に面した地域の旗で、この2頭はウィリアム征服王につながる紋章であり、イングランドの3頭のライオンの「祖先」でもあります。1066年のイングランド征服、そしてノルマンディー上陸(D-Day)の地の1枚。今回はそんなノルマンディーの旗の話です。


まずは構成のおさらい

ノルマンディー旗の構成は、次のとおりです。

  • 背景:赤
  • 中央:前を向いて歩く2頭の金色のレオパード(ライオン)(爪と舌は青)

色とシンボルの意味は、以下のとおりです。

  • 2頭の金のレオパード:ウィリアム征服王に結びつく紋章
  • 愛称:「レ・プティ・キャ(小さな猫たち)」

赤地に、前を向く2頭の金のライオンという、ヴァイキングと征服王の記憶を宿す1枚です。


「イングランドのライオンの祖先」

ノルマンディー旗の、最も重要な物語を見ていきます。

ウィリアム征服王

2頭のレオパードは、ウィリアム征服王に結びついています。中世の紋章官が、ウィリアム征服王の紋章として伝えた図柄に由来するものです。ただし、実際にはウィリアムの時代に個人の紋章はなく、後世に振り当てられたもので、由来には諸説あります。

2頭が3頭になった

そして、イングランドとのつながりです。後にリチャード獅子心王が、イングランド・ノルマンディー・アキテーヌの3つを表す3頭のライオンの盾を選びました。ノルマンディーの2頭のレオパードは、その「ノルマンディーの分」にあたります。こうして、イングランドは3頭のライオン、ノルマンディーは2頭のレオパードとして残りました。

ノルマンディーの2頭が、イングランド王室の3頭のライオンの祖先という、イングランドの旗・紋章ともつながる物語です。世界の紋章史の幹に触れる1枚です。


「ノルマンディー」 ── 北の人々(ヴァイキング)の地

ノルマンディーの名前の由来を見ていきます。

ノルマン=ノースマン

「ノルマンディー」は、「北の人々(ノースマン=ヴァイキング)の地」を意味します。10世紀、ヴァイキングのロロがこの地を与えられ、定住してフランス化しました。

征服王とイングランド

そして、1066年の出来事です。ノルマンディー公ウィリアムが、1066年にイングランドを征服しました(ヘイスティングズの戦い)。その様子はバイユーのタペストリーに描かれています。

ヴァイキングの子孫が、海を渡ってイングランドの王になったという、ヨーロッパ史の大事件です。


「チャンネル諸島とのつながり」

ノルマンディー旗の、もう1つのつながりを見ていきます。ジャージーやガーンジーなどのチャンネル諸島は、今もイギリス君主の主権下にあります。イギリス君主は今も「ノルマンディー公」の称号を持ち、チャンネル諸島の旗にも、このノルマンディーのレオパードが使われています。

はたログで見たジャージー・ガーンジーのレオパードは、このノルマンディーから来ているのです。


ノルマンディーという地域

ノルマンディーの基本情報です。

  • 正式名:ノルマンディー地域圏(Normandie)
  • 州都:ルーアン(Rouen)
  • 面積:約3万km²
  • 人口:約330万人
  • 公用語:フランス語
  • 法的地位:フランスの地域圏

「ノルマンディー上陸(D-Day)」

ノルマンディーは、1944年6月6日、第二次大戦のノルマンディー上陸作戦(D-Day)の舞台となりました。連合軍がこの海岸から上陸し、ヨーロッパ解放へ向かいました。

「モン・サン=ミシェルとカマンベール」

ノルマンディーの文化も豊かです。モン・サン=ミシェル、カマンベールチーズ、カルヴァドス(りんごのブランデー)が知られ、画家モネのジヴェルニーもこの地にあります。


まとめ:2頭の金のレオパード、ノルマンディー

今回のノルマンディー旗のまとめです。

  • 赤地に、前を向いて歩く2頭の金色のレオパード(ライオン)、爪と舌は青
  • 2頭のレオパードはウィリアム征服王に結びつく紋章(後世に振り当てられたもの、諸説あり)
  • 愛称は「レ・プティ・キャ(小さな猫たち)」
  • リチャード獅子心王がイングランド・ノルマンディー・アキテーヌを表す3頭のライオンの盾を選んだ
  • ノルマンディーの2頭のレオパードは、イングランド王室の3頭のライオンの祖先
  • 「ノルマンディー」は「北の人々(ヴァイキング)の地」、10世紀にヴァイキングのロロが定住
  • ノルマンディー公ウィリアムが1066年にイングランドを征服(ヘイスティングズの戦い、バイユーのタペストリー)
  • チャンネル諸島(ジャージー・ガーンジー)は今もイギリス君主の主権下、君主は「ノルマンディー公」の称号
  • チャンネル諸島の旗にもこのノルマンディーのレオパードが使われている
  • 1944年6月6日、ノルマンディー上陸作戦(D-Day)の舞台
  • モン・サン=ミシェル、カマンベール、カルヴァドス、モネのジヴェルニー
  • 面積約3万km²、人口約330万人、州都ルーアン

2頭の金のレオパード、イングランドのライオンの祖先。ノルマンディーの旗は、ヴァイキングから征服王、そしてイングランド王室へとつながる、ヨーロッパ史の幹を映す1枚です。