白地に、青・赤・金で構成された抽象的なデザイン。カナダ最東端の州、ニューファンドランド・ラブラドール州の旗です。画家が手がけた抽象画のような旗で、縦に掲げると金の矢が剣に変わります。先住民の首飾りの模様にも、ユニオン・ジャックにも通じる、意味の重なった1枚。今回はそんなニューファンドランド・ラブラドールの旗の話です。


まずは構成のおさらい

ニューファンドランド・ラブラドール旗の構成は、次のとおりです。

  • 背景:白
  • 左側:青い三角(ユニオン・ジャックを思わせる青)
  • 右側:2つの赤い三角と、金の矢

色とシンボルの意味は、以下のとおりです。

  • :海・湖・川の水
  • :雪と氷
  • :人々の努力
  • :自分たちと未来への自信

白地に青・赤・金を配した抽象的なデザインで、はたログでも珍しい現代アートのような1枚です。


「画家が描いた旗」

ニューファンドランド・ラブラドール旗の特徴を見ていきます。

クリストファー・プラット

1980年、ニューファンドランドの画家クリストファー・プラットがデザインしました。同年6月24日、ディスカバリー・デーに初めて掲揚されています。

トスカーナ(チェッリーニ)のように、ここでも一流の芸術家が旗を手がけた、芸術家デザインの旗です。

先住民の首飾りの模様

デザインの根っこには、先住民の文化があります。模様は、先住民ベオスック族とイヌー族が首から下げた飾りの彫り模様にもとづいています。

ユニオン・ジャックにも見える

この旗には、意図された二重性があります。青・赤・白の色使いで、全体がユニオン・ジャックを思わせるようにしてあるのです。これは、イギリス諸島との歴史的なつながりを思い起こさせるためです。


「矢にも剣にもなる」 ── 隠れた仕掛け

ニューファンドランド・ラブラドール旗の、巧みな仕掛けを見ていきます。

2つの三角と金の矢

2つの赤い三角は、州を構成する2つの地域、すなわちラブラドール(大陸側)とニューファンドランド(島側)を表します。そして金の矢は「より明るい未来」を指しています。

縦に掲げると剣になる

ここに、驚きの仕掛けがあります。旗を縦の垂れ幕として掲げると、金の矢が「剣」に変わり、軍務で犠牲になった人々を称える意味になるのです。さらに、2つの赤い三角と金の矢は、合わせると「三叉槍(トライデント)」にもなり、海の漁業と資源を象徴します。

横なら矢、縦なら剣、合わせれば三叉槍。見る向きで意味が変わる、考え抜かれたデザインです。


「ピンク・白・緑」 ── もう1つの旗

ニューファンドランドには、古くから愛される旗もあります。公式旗とは別に、「ピンク・白・緑」の横三色旗が、ニューファンドランドの民間の旗として親しまれてきました。色の由来には諸説あります。


ニューファンドランド・ラブラドールという地域

ニューファンドランド・ラブラドールの基本情報です。

  • 正式名:ニューファンドランド・ラブラドール州(Newfoundland and Labrador)
  • 州都:セントジョンズ(St. John's)
  • 面積:約40.5万km²
  • 人口:約53万人
  • 公用語:英語
  • 法的地位:カナダの州

「カナダに最後に加わった州」

ニューファンドランド・ラブラドールは、かつてはイギリスの自治領で、1949年にカナダに加わった最後の州です。

「ヴァイキングが来た地」

ニューファンドランドには、世界遺産があります。ランス・オ・メドーは、約1000年前にヴァイキングが築いた、北米で最初のヨーロッパ人の集落跡です。コロンブスよりずっと前に、北欧の人々が北米に到達していたことを物語ります。

ノルマンディーやアイスランドとつながるヴァイキングが、北米で最初に足跡を残した地。これも、はたログでつながる物語です。


まとめ:矢にも剣にもなる旗、ニューファンドランド・ラブラドール

今回のニューファンドランド・ラブラドール旗のまとめです。

  • 白地に、青い三角(ユニオン・ジャックを思わせる)、2つの赤い三角、金の矢
  • 青は水、白は雪と氷、赤は人々の努力、金は自分たちと未来への自信
  • 1980年、画家クリストファー・プラットがデザイン、6月24日のディスカバリー・デーに初掲揚
  • 模様は先住民ベオスック族・イヌー族の首飾りの彫り模様にもとづく
  • 青赤白の色使いで全体がユニオン・ジャックを思わせる(英国とのつながり)
  • 2つの赤い三角はラブラドール(大陸側)とニューファンドランド(島側)、金の矢は明るい未来
  • 縦に掲げると金の矢が剣になり軍務の犠牲を称える、合わせると三叉槍(漁業・海の資源)
  • 別に「ピンク・白・緑」の横三色旗が民間の旗として親しまれる(色の由来は諸説あり)
  • かつてイギリス自治領で、1949年にカナダに加わった最後の州
  • ランス・オ・メドーは約1000年前のヴァイキングの集落跡(北米最初のヨーロッパ人)
  • 面積約40.5万km²、人口約53万人、州都セントジョンズ

矢にも剣にもなる、画家の旗。ニューファンドランド・ラブラドールの旗は、先住民・イギリス・海・未来を、芸術家の抽象デザインに重ねた1枚です。