公式の旗はフランス三色旗。でも非公式の旗(紋章)には、2頭のタツノオトシゴ、銀の三日月、金色の花が描かれています。マヨットの旗です。インド洋にあるフランス海外県の旗で、コモロ諸島の一部でありながら、フランスに残ることを選んだ島。世界最大級のラグーンを持つ1枚。今回はそんなマヨット旗の話。
まずは構成のおさらい
公式旗
公式の旗は、フランス国旗(青・白・赤の縦三色)です。
非公式の紋章旗
非公式の旗は、白地に配置されたマヨット紋章です。その構成は、次のとおりです。
- 盾を支えるもの:2頭のタツノオトシゴ
- 盾の上半分(青):銀の三日月
- 盾の下半分(赤):金色のイランイランの花2輪
- 盾の縁:ギザギザの銀の縁取り
- 標語:「Ra hachiri(我らは警戒する)」
色とシンボルの意味は、以下のとおりです。
- 青・白・赤:フランス国旗と同じ色
- タツノオトシゴ:マヨット近海固有の海の生物多様性
- 三日月:イスラム教(住民の95%以上がムスリム)
- イランイランの花:マヨットの主要農産物
- ギザギザの縁:世界最大級のラグーンを囲むサンゴ礁
海と信仰と花、そしてサンゴ礁の島。インド洋の島の紋章です。
「2頭のタツノオトシゴ」 ── 海の生物多様性
マヨット紋章の、目を引くシンボルを見ていきます。
マヨット近海固有
盾を支えているのが、2頭のタツノオトシゴです。マヨット近海に固有のタツノオトシゴで、島の豊かな海の生物多様性を象徴しています。
タツノオトシゴが盾を支える、世界でも珍しい紋章。海の島ならではのデザインです。
世界最大級のラグーン
そして、ギザギザの縁が象徴するものがあります。世界最大級の閉じたラグーンを囲むサンゴ礁です。マヨットは、この美しいラグーンで知られています。
「三日月とイランイラン」 ── 信仰と香り
マヨット紋章の、盾の中身を見ていきます。
三日月 ── イスラム教
盾の上半分(青)には、銀の三日月があります。住民の95%以上がムスリムであり、イスラム教を象徴しています。
イランイランの花 ── 香水の原料
盾の下半分(赤)には、金色のイランイランの花(Cananga odorata)が描かれています。マヨットの主要農産物で、エッセンシャルオイル(精油)が生産され、香水の原料として有名です。シャネルNo.5などにも使われます。
信仰の三日月と、香水の花。マヨットの個性を込めた盾です。
1982年 ── 紋章の採択
マヨット紋章の制定について見ていきます。
1982年、紋章を採択
1982年、マヨット県の前身組織が紋章を採択しました。色はフランス国旗と同じ青・白・赤で、標語「Ra hachiri」はシマオレ語で「我らは警戒する」を意味します。
マヨットという領土
マヨットの基本情報です。
- 正式名:マヨット(Mayotte)
- 首都:マムズ(Mamoudzou)
- 面積:約374km²
- 人口:約30万人以上
- 公用語:フランス語(シマオレ語・キブシ語も)
- 法的地位:フランスの海外県・海外地域圏
「コモロから離れ、フランスに残った島」
マヨットは、独特の歴史を持ちます。もともとコモロ諸島の一部でしたが、1975年にコモロが独立する際、マヨットだけはフランス残留を選びました。コモロはマヨットの領有を主張しており、評価は政治的立場で分かれます(諸説あり)。
コモロ諸島の他の島は独立し、マヨットだけフランスに。分かれ道でした。
「フランス101番目の県」
そして、2011年に大きな出来事がありました。マヨットが、フランスの101番目の県になったのです。インド洋にあるEU・フランスの県です。
「フランスで最も貧しい県」
マヨットは、現代の課題も抱えています。フランスの海外県のなかで最も所得が低く、コモロなどからの移民の問題があります。人口構成が若いのも特徴です。
まとめ:タツノオトシゴと三日月の島
今回のマヨット旗まとめ。
- 公式旗はフランス三色旗、非公式の紋章旗は白地にマヨット紋章
- 盾を支える2頭のタツノオトシゴ=マヨット近海固有の海の生物多様性
- 盾の上半分(青)に銀の三日月=イスラム教(住民の95%以上がムスリム)
- 盾の下半分(赤)に金色のイランイランの花2輪=主要農産物・精油・香水の原料
- ギザギザの縁=世界最大級の閉じたラグーンを囲むサンゴ礁
- 色は青・白・赤でフランス国旗と同じ
- 標語「Ra hachiri」=シマオレ語で「我らは警戒する」
- 1982年、マヨット県の前身組織が紋章を採択
- コモロ諸島の一部だが、1975年のコモロ独立時にマヨットだけフランス残留を選択
- コモロはマヨットの領有を主張(諸説あり)
- 2011年、フランスの101番目の県に
- フランスの海外県で最も所得が低く、移民の課題がある
- 面積約374km²、人口約30万人以上、首都マムズ
タツノオトシゴが支える、三日月と花の盾。マヨットの旗(紋章)は、インド洋でフランスに残ることを選んだムスリムの島を、海と信仰と香りに込めた1枚です。