青・金・青の縦三色、中央に赤く縁取られた白い十字。マデイラ諸島の旗です。大西洋に浮かぶポルトガルの自治地域の旗で、この十字はキリスト騎士団の十字。大航海時代にポルトガルの帆船の帆に描かれたシンボルで、サッカーのクリスティアーノ・ロナウドの故郷でもある1枚。今回はそんなマデイラ諸島の旗の話です。


まずは構成のおさらい

マデイラ諸島旗の構成は、次のとおりです。

  • 縦3本の帯:青・金・青
  • 中央(金の帯):キリスト騎士団の十字(赤く縁取られた白い十字)

色とシンボルの意味は、以下のとおりです。

  • :島であること(島嶼性)、高貴さ・美しさ・静けさ
  • :温暖な気候、富・強さ・信仰・純粋さ・不変
  • 十字:キリスト騎士団。大航海時代のシンボルです

青と金に大航海時代の十字を配した、ポルトガルの歴史を背負った1枚です。


「キリスト騎士団の十字」 ── 大航海時代の象徴

マデイラ諸島旗の、中心のシンボルを見ていきます。

マデイラ発見の騎士たち

中央にあるのは、キリスト騎士団の十字です。15世紀初め、キリスト騎士団の庇護を受けた騎士たちがマデイラを発見しました。発見した船長は、ジョアン・ゴンサルヴェス・ザルコと、トリスタン・ヴァス・テイシェイラです。

ポルトガルの帆に描かれた十字

この十字は、ポルトガルそのものの象徴でもあります。キリスト騎士団は1319年に創設され、エンリケ航海王子に率いられて、ポルトガルの大航海時代を推進しました。キリスト騎士団の十字は、ポルトガルのキャラベル船やカラック船の帆に描かれ、そのため大航海時代とポルトガル帝国の主要なシンボルになりました。世界の海へ乗り出したポルトガル船の帆の十字が、マデイラの旗に受け継がれているのです。


「独立の旗から、自治の旗へ」

マデイラ諸島旗には、面白い経緯があります。

青と金は分離主義の色だった

青と金の組み合わせは、実はかつて、分離主義(独立)のシンボルでした。

十字を加えて、意味を変えた

そして1978年、ひとつの選択がなされます。1978年7月28日、マデイラ自治地域の議会が旗を承認しました。同じ青と金の基本パターンを使いつつ、キリスト騎士団の十字を加えたのです。これにより、独立の象徴を、ポルトガル憲法のもとでの自治のシンボルに変えました。人々が愛着を持つ青と金を残しつつ、独立から自治へと意味を変えた、巧みな旗の物語です。


マデイラ諸島という領土

マデイラ諸島の基本情報です。

  • 正式名:マデイラ自治地域(Região Autónoma da Madeira)
  • 州都:フンシャル(Funchal)
  • 面積:約801km²
  • 人口:約25万人
  • 公用語:ポルトガル語
  • 法的地位:ポルトガルの自治地域

「クリスティアーノ・ロナウドの故郷」

マデイラは、世界的に有名な人物の故郷です。サッカー選手クリスティアーノ・ロナウドの出身地(フンシャル)で、空港も彼にちなんでクリスティアーノ・ロナウド国際空港と名付けられています。

「マデイラ・ワイン」

マデイラの特産が、マデイラ・ワインです。世界的に有名な酒精強化ワインで、アメリカ独立宣言の乾杯に使われたという話もあります。

「木の島」と世界遺産の森

島の名「マデイラ」は、ポルトガル語で「木材」を意味します。発見当時、島が森に覆われていたことに由来します。その森は、世界遺産「マデイラ島の照葉樹林(ラウリシルヴァ)」として知られています。

「アゾレスと並ぶポルトガルの自治地域」

マデイラは、アゾレス諸島と並ぶ、ポルトガルの2つの自治地域の1つです。アフリカ沖にあり、ポルトガル本土から約1,000km離れています。「常春の島」と呼ばれる温暖な気候や、レバダ(水路沿いの遊歩道)で知られます。


まとめ:青と金の大航海時代の十字、マデイラ

今回のマデイラ諸島旗のまとめです。

  • 青・金・青の縦三色+中央(金の帯)にキリスト騎士団の十字(赤く縁取られた白い十字)
  • 青=島嶼性・高貴さ・美しさ・静けさ、金=温暖な気候・富・強さ・信仰
  • 十字=キリスト騎士団(1319年創設、エンリケ航海王子が率い大航海時代を推進)
  • 15世紀初め、キリスト騎士団の庇護を受けた騎士ザルコとテイシェイラがマデイラを発見
  • キリスト騎士団の十字はポルトガル船の帆に描かれ、大航海時代とポルトガル帝国の象徴に
  • 青と金はもと分離主義(独立)の色だったが、十字を加えて自治のシンボルに(1978年7月28日承認)
  • 州都フンシャルはサッカーのクリスティアーノ・ロナウドの故郷、空港も彼の名前
  • マデイラ・ワイン(酒精強化ワイン、アメリカ独立宣言の乾杯に使われたとも)
  • 島名「マデイラ」=ポルトガル語で「木材」(森に覆われていた)、照葉樹林は世界遺産
  • アゾレス諸島と並ぶポルトガルの自治地域、アフリカ沖、本土から約1,000km
  • 面積約801km²、人口約25万人、州都フンシャル

青と金に、世界の海を渡った十字。マデイラ諸島の旗は、大航海時代に発見されたポルトガルの島を、ポルトガル帝国の象徴とともに掲げる1枚です。