3つに分かれた紋章。黒白の模様、青と黄の十字、そして黒いアイベックス(アルプスアイベックス)です。グラウビュンデンの旗で、スイス最大・最東のカントン(州)の旗です。3つの部分は、この州を作った「3つの同盟」を表します。スイスという連邦のなかに、もう1つの連邦がある。そんなグラウビュンデンの旗の話です。
まずは構成のおさらい
グラウビュンデン旗は、3つに分かれています。
- 黒と白の模様:灰色同盟(グラウアー・ブント)
- 青地に黄色い十字:十管轄区同盟
- 黒いアイベックス:神の家同盟
シンボルの意味は、以下のとおりです。
- 3つの部分:州を作った「3つの同盟」
- アイベックス:自由・独立・俊敏・勇気
3つの紋章を1枚に合わせた、連邦の成り立ちそのもののデザインです(スイスの州旗は正方形が伝統です)。
「3つの同盟」 ── 連邦のなかの連邦
グラウビュンデン旗の核心を見ていきます。
1471年、3つの同盟が合わさった
グラウビュンデンは、3つの同盟から生まれました。灰色同盟・十管轄区同盟・神の家同盟の3つで、1471年にこれらが連合して、1つのまとまりになりました。旗は、その3つの紋章を組み合わせたものです。
グラウビュンデン=灰色の同盟
州の名「グラウビュンデン」は、ドイツ語で「灰色の同盟(Grey Leagues)」を意味します。旗の黒白の部分は、その「灰色同盟」の名にかけた模様(言葉遊び)です。スイスという連邦の州が、それ自体3つの同盟の連邦だった。旗が、その入れ子のような歴史を語っています。
「アイベックス」 ── アルプスの自由のシンボル
グラウビュンデン旗の、主役の動物を見ていきます。
アルプスアイベックス
黒いアイベックス(アルプスアイベックス、シュタインボック)は、神の家同盟のシンボルで、自由・独立・俊敏さ・勇気を表します。アルプスの険しい岩場に住む、野生のヤギの仲間です。アルプスを象徴するアイベックスが自由の象徴として旗に描かれた、山岳州らしいデザインです。グラウビュンデンは、スイス唯一の国立公園を抱える、アルプスの自然の宝庫でもあります。
1933年 ── 旗の制定
グラウビュンデン旗の制定の歴史です。1815年から1933年までは、3つの同盟の紋章をさまざまに組み合わせて使っていました。そして1933年に、現在の3分割の旗が定まりました。
グラウビュンデンという地域
グラウビュンデンの基本情報です。
- 正式名:グラウビュンデン州(Graubünden/Grischun/Grigioni)
- 州都:クール(Chur)
- 面積:約7,100km²(スイス最大の州)
- 人口:約20万人
- 公用語:ドイツ語・ロマンシュ語・イタリア語
- 法的地位:スイスのカントン(州)
「ロマンシュ語の地」
グラウビュンデンは、スイスの4つの国語の1つロマンシュ語が、主に話される州です。ロマンシュ語を公用語とする唯一の州であり、ドイツ語・ロマンシュ語・イタリア語の3言語が使われます。3つの同盟、3つの言語。多様性が重なり合う州です。
「アルプスのリゾート」
サンモリッツやダボス(世界経済フォーラム)、氷河特急、レーティッシュ鉄道(世界遺産)でも知られます。
まとめ:3つの同盟とアイベックス、グラウビュンデン
今回のグラウビュンデン旗のまとめです。
- 3分割:黒白の模様(灰色同盟)+青地に黄色い十字(十管轄区同盟)+黒いアイベックス(神の家同盟)
- 3つの部分=この州を作った「3つの同盟」、アイベックス=自由・独立・俊敏・勇気
- 1471年成立の「3つの同盟」の連合体(灰色同盟・十管轄区同盟・神の家同盟)
- 州名グラウビュンデン=ドイツ語で「灰色の同盟」、黒白の部分はその名にかけた言葉遊び
- スイスという連邦の州が、それ自体3つの同盟の連邦だった(入れ子の成り立ち)
- アイベックスはアルプスの険しい岩場に住む野生のヤギの仲間、自由の象徴
- 1815〜1933年は3つの紋章をさまざまに組み合わせ、1933年に現在の3分割の旗に
- スイスの4つの国語の1つロマンシュ語が主にこの州で話される(公用語の唯一の州)
- ドイツ語・ロマンシュ語・イタリア語の3言語、スイス唯一の国立公園
- サンモリッツ・ダボス・氷河特急・レーティッシュ鉄道(世界遺産)
- スイス最大の州、面積約7,100km²、人口約20万人、州都クール
3つの同盟が合わさった、アイベックスの旗。グラウビュンデンの旗は、連邦のなかのもう1つの連邦を、3つの紋章とアルプスの野生動物に込めた1枚です。