赤・白・赤の横三色、白い帯の中央にカヌーと太陽と波の紋章。仏領ポリネシアの旗、南太平洋のタヒチを中心とするフランス海外共同体の旗です。紋章のカヌーに乗る5人は、5つの諸島を表します。タヒチの楽園と、ポリネシア航海文化を込めた1枚です。今回はそんな仏領ポリネシア旗の話です。
まずは構成のおさらい
仏領ポリネシア旗の構成は、次のとおりです。
- 横3本の帯(上から):赤・白(広め)・赤
- 比率:1:2:1
- 白い帯の中央:仏領ポリネシア紋章
紋章は、次のように構成されています。
- 下半分:青と白の波模様(海)
- 上半分:金と白の光線(太陽)
- 波の上:ポリネシアのカヌー(ピローグ)
- カヌーの乗員:5つの星=5人(5つの諸島)
色とシンボルの意味は、以下のとおりです。
- 赤:ポリネシア王族の伝統色、マロ・ウラ(王族の羽根の帯)
- 白:純粋さ、バランス
- 太陽:生命を与える太陽
- カヌーと5つの星:5つの諸島の団結
ポリネシアの航海文化と5つの諸島を表した、太平洋らしい1枚です。
「5人のカヌー」 ── 5つの諸島
仏領ポリネシア旗の、最も重要なシンボルを見ていきます。
5つの諸島
仏領ポリネシアは、5つの諸島群から成り立っています。
- ソシエテ諸島(Society Islands):タヒチ・ボラボラを含む、中心的な諸島
- トゥアモトゥ諸島(Tuamotu):多数の環礁
- ガンビエ諸島(Gambier)
- マルキーズ諸島(Marquesas)
- オーストラル諸島(Austral)
カヌーに乗る5人が、この5つの諸島を表しています。ミクロネシア連邦(4つの州の星)と並ぶ、太平洋の諸島の団結の表現です。
ポリネシアの航海カヌー
カヌーは、ポリネシア人の航海文化を表します。ピローグ(アウトリガーカヌー)であり、ポリネシア人が太平洋を渡った伝統的な船です。マダガスカル記事でも触れた、太平洋・インド洋を渡った航海民族の船でもあります。国旗のカヌーは、ポリネシアの偉大な航海の伝統を象徴しています。
1984年11月23日 ── アルフレッド・シャロンのデザイン
仏領ポリネシア旗の起源をたどります。
1984年、デザインコンテスト
1984年、仏領ポリネシアが自治権を高める時期に、独自旗のコンテストが開かれました。デザイナーはアルフレッド・シャロン(Alfred Chalons)。ラ・メネ高校の技術・造形美術の教師で、生徒たちの協力を得て応募しました。アメリカ領サモア(高校生)、グアム(女性ヘレン・ポール)と並ぶ、教師や若者による太平洋領土旗です。
1984年11月23日、正式採択
そして1984年11月23日、仏領ポリネシア旗が正式に採択されました。以前のタヒチの赤白赤の旗をベースに、紋章を加えたものです。フランス領でありながら、ポリネシアの独自性を主張する旗となりました。
公式は仏旗と併揚
ただしフランス領なので、フランス三色旗と併揚されます。公式行事ではフランス国旗が掲げられますが、仏領ポリネシア旗も広く使われています。
「赤白赤」 ── タヒチ王族の色
仏領ポリネシア旗の赤白赤を見ていきます。
マロ・ウラ
赤は、ポリネシア王族の伝統色です。マロ・ウラ(maro ura)は、王族のみが身につけた緋色の羽根の帯であり、赤は王権の色でした。
タヒチ王国
そしてタヒチ王国(ポマレ朝、18-19世紀)は、赤白赤の旗を使用していました。1880年、フランスがこれを併合します。このタヒチ王国の旗が、現代の仏領ポリネシア旗のベースとなりました。王族の赤に現代の紋章を加えたのが、仏領ポリネシア旗の構成です。
仏領ポリネシアという領土
仏領ポリネシアの基本情報です。
- 正式名:仏領ポリネシア(Polynésie française)
- 首都:パペーテ(Papeete、タヒチ島)
- 面積:陸地約4,167km²、海域約500万km²
- 人口:約28万人
- 公用語:フランス語(タヒチ語など現地語も)
- 法的地位:フランスの海外共同体
「タヒチ」
仏領ポリネシアの中心が、タヒチ島です。南太平洋の楽園と呼ばれ、画家ポール・ゴーギャンが晩年を過ごした地でもあります。ボラボラ島やモーレア島など、世界的なリゾートも擁します。
「118の島々」
仏領ポリネシアは、118の島々から成り立っています。約500万km²という広大な海域に散らばっており、ヨーロッパほどの広さの海域です。
「核実験の歴史」
仏領ポリネシアには、苦難の歴史もあります。1966年から1996年にかけて、フランスがムルロア環礁・ファンガタウファ環礁で核実験を行いました。その数は約200回にのぼります。マーシャル諸島(アメリカ)と並ぶ、太平洋の核実験地です(マーシャル諸島記事でも触れました)。国旗の青い波は太平洋を表しますが、その海は核実験で汚染されました。重い歴史です。
「真珠」
仏領ポリネシアには、世界的に有名な産物があります。黒真珠(タヒチアン・パール)です。仏領ポリネシアは、世界の黒真珠の主要産地です。
まとめ:5人のカヌー、ポリネシアの航海文化
今回の仏領ポリネシア旗のまとめです。
- 赤・白(広め)・赤の横三色(1:2:1)、白い帯の中央に紋章
- 紋章は、下半分の波模様(海)、上半分の光線(太陽)、カヌー、5つの星(乗員)
- 1984年11月23日、正式採択
- 設計者はアルフレッド・シャロン(ラ・メネ高校の技術・造形美術の教師、生徒と応募)
- 赤はポリネシア王族の色(マロ・ウラ=王族の羽根の帯)、白は純粋・バランス
- カヌーの5人は5つの諸島(ソシエテ・トゥアモトゥ・ガンビエ・マルキーズ・オーストラル)
- カヌーはポリネシアの航海文化
- タヒチ王国(ポマレ朝)の赤白赤の旗がベース、1880年フランス併合
- フランス領なので公式はフランス三色旗と併揚
- 首都パペーテ(タヒチ島)、118の島々、海域約500万km²
- 「南太平洋の楽園」、画家ゴーギャンが晩年を過ごした
- 1966-1996年、フランスがムルロア環礁等で約200回の核実験
- 黒真珠(タヒチアン・パール)の主要産地
- 面積(陸地)約4,167km²、人口約28万人
5人のカヌーが、5つの諸島を運ぶ。仏領ポリネシアの旗は、ポリネシアの偉大な航海文化と、タヒチの楽園を、太陽とカヌーに込めた1枚です。