青地、左上にユニオン・ジャック、右側に羊と帆船の紋章。フォークランド諸島の旗、南大西洋のイギリス海外領土の旗です。羊は牧羊業を、帆船は1592年に島を発見したデザイア号を表します。1982年のフォークランド紛争で世界に知られた1枚でもあります。今回はそんなフォークランド諸島旗の話です。
まずは構成のおさらい
フォークランド諸島旗の構成は、次のとおりです。
- 背景:青(ブルー・エンサイン)
- 左上のカントン:ユニオン・ジャック
- 右側(フライ側):フォークランド諸島紋章
紋章の構成は、以下のとおりです。
- 上部:青地に羊(牧羊業を表す)
- 下部:白と青の波の上に帆船(デザイア号)
- 国是:「Desire the Right(正義を求めよ)」(デザイア号にかけた言葉)
色とシンボルの意味は、次のとおりです。
- 青:南大西洋
- 羊:フォークランドの主要産業である牧羊業
- 帆船デザイア号:1592年の島の発見
- 草(タソック・グラス):フォークランドの植生
英連邦旗に羊と帆船を組み合わせた、典型的なイギリス海外領土旗です。
「羊と帆船」 ── 牧羊業と発見
フォークランド諸島旗の、最も重要なシンボルを見ていきます。
羊 ── 牧羊業
紋章上部に描かれているのが羊です。フォークランドの主要産業は牧羊業であり、人口より羊が圧倒的に多い島として知られています。人口約3,500人に対し、羊は約50万頭以上。ウール(羊毛)が伝統的な輸出品です。フェロー諸島が「羊の島」と呼ばれるのと同じく、フォークランドもまた羊の島なのです。
デザイア号
紋章下部に描かれているのが、帆船デザイア号(Desire)です。1592年、ジョン・デイヴィス(John Davis)の船で、マゼラン海峡を渡ろうとして嵐で流され、フォークランド諸島を発見したと伝えられています(諸説あり)。国是の「Desire the Right(正義を求めよ)」は、船名「デザイア(願望)」にかけた言葉です。国旗に描かれた帆船は、まさに島を発見した船であり、フォークランドの起源を象徴しています。
1982年 ── フォークランド紛争
フォークランド諸島の、世界的に有名な歴史を見ていきます。
イギリスとアルゼンチンの領有問題
フォークランド諸島には、イギリスとアルゼンチンの領有問題があります。イギリスは1833年から実効支配し、住民はイギリス系だと主張します。一方アルゼンチンは、マルビナス諸島はアルゼンチン領だと主張しています。
1982年、フォークランド紛争
1982年4月、フォークランド紛争(Falklands War)が起こりました。アルゼンチン軍がフォークランド諸島を占領し、イギリス(マーガレット・サッチャー首相)が軍を派遣します。約74日間の戦争で、約900人が戦死し、イギリスが勝利して領有を維持しました。国旗の青は南大西洋を表しますが、その海は1982年に戦場となった海でもあります。
住民投票
そして2013年、住民投票が行われました。フォークランド住民の99.8%がイギリス領の維持を支持し、住民自身がイギリス領を望んでいることが示されました。国旗の羊が表す住民の生活、その彼らがイギリス領を選んだことになります。ただし諸説あり、領有問題はアルゼンチンとの間で未解決のままです。
1948年・1999年 ── 旗の制定
フォークランド諸島旗の制定史を見ていきます。
1948年9月29日、紋章制定
1948年9月29日、フォークランド諸島紋章が制定されました。羊と帆船の紋章で、これに先立つ1948年9月22日に旗が初めて掲揚されています。
1999年1月25日、現代版
そして1999年1月25日、現代版が採択されました。以前は紋章が白い円の上に置かれていましたが、1999年からは紋章を直接青地に配置する形になりました。
フォークランド諸島という領土
フォークランド諸島の基本情報です。
- 正式名:フォークランド諸島(Falkland Islands、アルゼンチン名:マルビナス諸島)
- 首都:スタンリー(Stanley)
- 面積:約1.2万km²
- 人口:約3,500人
- 公用語:英語
- 法的地位:イギリスの海外領土
「2つの主要島と788の小島」
フォークランド諸島は、東フォークランド島と西フォークランド島という2つの主要島に、788の小島を加えた構成です。南アメリカ大陸からは約400マイル(約640km)離れています。
「ペンギンの島」
フォークランド諸島は、ペンギンの楽園でもあります。キングペンギン、マゼランペンギン、ジェンツーペンギンなど5種類のペンギンが生息し、人口(約3,500人)よりもペンギンのほうが圧倒的に多いほどです。
「人口より羊が多い」
フォークランドの大きな特徴が、人口より羊が多いことです。人口約3,500人に対し、羊は約50万頭以上。人間1人に対して羊が140頭以上いる計算になります。国旗の羊は、まさに島の主役であり、フォークランドは文字通りの牧羊の島なのです。
まとめ:羊と帆船、南大西洋の島
今回のフォークランド諸島旗のまとめです。
- 青地(ブルー・エンサイン)に、左上のユニオン・ジャックと右側のフォークランド諸島紋章
- 1948年9月29日に紋章制定、9月22日に旗を初掲揚
- 1999年1月25日、現代版を採択(紋章を直接青地に配置)
- 紋章は、上部の青地に羊(牧羊業)と、下部の波の上に帆船デザイア号
- 国是「Desire the Right(正義を求めよ)」は、船名デザイアにかけた言葉
- 羊は主要産業の牧羊業、帆船デザイア号は1592年ジョン・デイヴィスの島発見
- 1592年、ジョン・デイヴィスがマゼラン海峡で嵐に流され島を発見(諸説あり)
- イギリスとアルゼンチンの領有問題(アルゼンチン名はマルビナス諸島)
- 1982年フォークランド紛争、約74日間、約900人戦死、イギリスが勝利
- 2013年住民投票で99.8%がイギリス領維持を支持
- 2つの主要島と788の小島、南アメリカから約640km
- ペンギンの楽園(5種類)、人口約3,500人に対し羊約50万頭以上
- 面積約1.2万km²、首都スタンリー
羊と、島を発見した帆船。フォークランド諸島の旗は、牧羊の島の生活と、1592年の発見の歴史を、青地の紋章に込めた1枚です。