白地に、まっすぐな赤い十字。イングランドの旗、イギリス(UK)を構成するイングランドの旗です。この赤い十字は聖ジョージ十字、イングランドの守護聖人である聖ジョージのシンボルです。そしてユニオン・ジャックのベースになった旗でもあります。サッカーの応援でおなじみの1枚。今回はそんなイングランド旗の話です。


まずは構成のおさらい

イングランド旗の構成は、次のとおりです。

  • 背景:白
  • 中央:まっすぐな赤い十字(聖ジョージ十字)

色とシンボルの意味は、以下のとおりです。

  • 赤い十字:キリストの磔刑の象徴、十字軍のしるし
  • :純粋さ
  • 聖ジョージ十字:イングランドの守護聖人聖ジョージ

白地に赤い十字、シンプルだが歴史の深い旗。スコットランド・ウェールズ・北アイルランドと並ぶ、イギリスの構成国の旗です。


「聖ジョージ十字」── 十字軍のしるし

イングランド旗の起源を見ていきます。

10世紀、ジェノヴァの旗

赤い十字には、意外な起源があります。その起源は10世紀にさかのぼり、もともとはジェノヴァ共和国の旗として使われていました。

十字軍の象徴

そして十字軍と結びつきます。1190年頃には、赤い十字は十字軍のシンボルになっていました。十字軍兵士は、純粋さを表す白いマントに赤い十字を縫いつけたのです。赤い十字は、キリストの磔刑の象徴でした。

ジェノヴァの旗が、十字軍を通じてヨーロッパに広まったという流れです。


「もとは聖ジョージと関係なかった」

イングランド旗の、面白い歴史を見ていきます。

13世紀、イングランドへ

赤い十字がイングランドに入ったのは、13世紀後半のことです。最初は旗ではなく、聖ジョージとも関係ありませんでした。エドワード1世の時代(1270年代)に、イングランド兵が識別用に身につけたものでした。

14世紀、聖ジョージと結びつく

そして聖ジョージと結びついていきます。1348年、エドワード3世がガーター勲章の守護聖人に聖ジョージを選びました。こうして14世紀、聖ジョージはイングランドの守護聖人となります。それまでの守護聖人だった聖エドマンドに代わってのことでした。

最初はただの識別マーク、後から聖ジョージの旗になった。後付けの物語です。


「ユニオン・ジャックのベース」

イングランド旗の、重要な役割を見ていきます。

3つの十字の組み合わせ

ユニオン・ジャック(イギリス国旗)は、3つの旗の組み合わせです。イングランドの聖ジョージ十字(白地に赤い十字)、スコットランドの聖アンドリュー十字(青地に白い斜め十字)、そしてアイルランドの聖パトリック十字(白地に赤い斜め十字)から成ります。

ウェールズは入っていない

そして、有名な話があります。ウェールズの赤いドラゴンは、ユニオン・ジャックに入っていません。そのなかで、イングランド旗はユニオン・ジャックの一番上に重なる赤い十字となっています。

イングランドの赤い十字が、UK国旗の中心にある。それがその地位です。


イングランドという地域

イングランドの基本情報です。

  • 正式名:イングランド(England)
  • 首都:ロンドン(London)、UK全体の首都でもある
  • 面積:約13万km²
  • 人口:約5,700万人
  • 公用語:英語
  • 法的地位:イギリス(UK)を構成するカントリー(構成国)

「UKで最大の構成国」

イングランドは、UKの中心です。イギリス(UK)は、イングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランドから成りますが、イングランドはその人口・経済の中心で、UK人口の約8割を占めます。首都ロンドンは、UK全体の首都でもあります。

「聖ジョージの日」

イングランドには、守護聖人の日があります。聖ジョージの日(4月23日)です。聖ジョージはドラゴン退治の伝説で知られ、ジョージア・カタルーニャなど多くの土地の守護聖人でもあります。

「サッカーと旗」

そして現代の旗の話です。20世紀後半以降、サッカーの応援を通じて旗の人気が再燃しました。ワールドカップなどで掲げられる、おなじみの旗です。これには、スコットランド・ウェールズの自治拡大への反応という側面もあります。


まとめ:白地に赤い十字、聖ジョージの旗

今回のイングランド旗のまとめです。

  • 白地に、まっすぐな赤い十字(聖ジョージ十字)
  • 赤い十字はキリストの磔刑・十字軍のしるし、白は純粋さ
  • 赤い十字の起源は10世紀、ジェノヴァ共和国の旗
  • 1190年頃には十字軍のシンボルに(白いマントに赤い十字)
  • 13世紀後半にイングランドへ、最初は旗でも聖ジョージとも無関係
  • エドワード1世時代(1270年代)に兵士の識別用
  • 1348年、エドワード3世がガーター勲章の守護聖人に聖ジョージを選ぶ
  • 14世紀、聖ジョージがイングランドの守護聖人に(聖エドマンドに代わって)
  • ユニオン・ジャックのベース(イングランドの赤十字、スコットランドの聖アンドリュー十字、アイルランドの聖パトリック十字)
  • ウェールズの赤いドラゴンはユニオン・ジャックに入っていない
  • イングランドはUK最大の構成国(人口約5,700万人、UK人口の約8割)、首都ロンドン
  • 聖ジョージの日は4月23日、ドラゴン退治の伝説
  • 20世紀後半以降、サッカーの応援を通じて旗の人気が再燃
  • 面積約13万km²

白地に赤い十字、聖ジョージの旗。イングランドの旗は、十字軍から始まり守護聖人へと結びついた、ユニオン・ジャックの中心をなす1枚です。