青(広め)・黄・青の3本の横帯、左上に2つの白い5角星(大小)。キュラソーの旗は、カリブ海南部に浮かぶオランダ王国の構成国の旗です。2つの星はキュラソー本島とクライン・キュラソー(小キュラソー)を表します。1984年、2,000件の応募から選ばれたという、民主的なデザイン選定を経た1枚です。今回はそんなキュラソー旗の話です。


まずは構成のおさらい

キュラソー旗の構成は、次のとおりです。

  • 横3本の帯(上から):青(広め)・黄(細い)・青(中)
  • 比率:5:1:2
  • 左上:2つの白い5角星(大小)

色とシンボルの意味は、以下のとおりです。

  • 青(上):空
  • :太陽(空と海を分ける)
  • 青(下):カリブ海
  • 大きい星:キュラソー本島
  • 小さい星:クライン・キュラソー(小キュラソー)
  • 星の5つの先端:キュラソー人民の起源の5大陸

自然と住民の起源を組み合わせた、現代的なシンボリズムを持つ1枚です。


「2つの星」 ── 2つの島

キュラソー旗の、最も重要なシンボルを見ていきます。

大きい星 ── キュラソー本島

大きい星が表すのは、キュラソー本島です。面積は約444km²、人口は約15万人で、首都ウィレムスタッドはユネスコ世界遺産に登録されています。

小さい星 ── クライン・キュラソー

小さい星が表すのは、クライン・キュラソー(Klein Curaçao、「小キュラソー」)です。面積は約2km²の無人島で、キュラソー本島の南東約9kmに位置し、難破船や白い砂浜で知られる観光地となっています。

島民の住む島と、無人の小島。キュラソーの全領土を2つの星に込めています。

5つの先端 ── 5大陸の起源

各星の5つの先端は、キュラソー住民の起源である5大陸を表します。アフリカ・ヨーロッパ・アジア・南北アメリカ・オセアニアであり、多民族・多文化のキュラソー人を象徴しています。


1984年7月2日 ── 2,000件の応募

キュラソー旗の、民主的な誕生の経緯を見ていきます。

オランダ領アンティル時代

1984年以前、キュラソーはオランダ領アンティルの一部でした。アルバ・ボネール・キュラソー・シント・マールテン・サバ・シント・ユースタティウスの6島連合で、共通のオランダ領アンティル旗(白地に青と赤の十字、6つの星)を用いていました。

1984年、独自旗の必要性

そして1984年、キュラソーが独自旗を採用することになります。オランダ領アンティルから独立した地域アイデンティティを示すためで、全国コンテストには2,000件以上の応募が集まりました。

2,000件のなかから選ばれた民主的なデザインという点では、ナイジェリアやバルバドスなどと並ぶ、大規模な国民コンテストのパターンです。

1984年7月2日、正式採択

1984年7月2日、新旗が正式に採択されました。以後、毎年7月2日はキュラソーの旗の日となっています。

2010年10月10日、構成国に

そして2010年10月10日、オランダ領アンティルが解体されました。キュラソーはオランダ王国の構成国となり、アルバと同じ独自地位である「Status Aparte」を得ます。これにともない、キュラソー旗が正式に国旗的地位を持つことになりました。


キュラソーという領土

キュラソーの基本情報です。

  • 正式名:キュラソー(Curaçao)
  • 首都:ウィレムスタッド(Willemstad)
  • 面積:約444km²
  • 人口:約15万人
  • 公用語:オランダ語・パピアメント語・英語
  • 法的地位:オランダ王国の構成国

「ABC諸島」

キュラソーは、ABC諸島の1つです。

  • A:アルバ
  • B:ボネール
  • C:キュラソー

ベネズエラ沖、カリブ海南部の3島として、アルバ記事でも触れたとおりです。

「Willemstad」 ── ユネスコ世界遺産

首都ウィレムスタッドは、ユネスコ世界遺産です。17世紀のオランダ植民地都市で、カラフルな建物で有名であり、青・赤・黄・緑の家々が並びます。ウィレムスタッドがなぜカラフルなのかについては諸説あります。かつての総督が白い建物の強い反射を嫌って塗色を命じたという話が有名ですが、歴史家にはほぼ否定されており、1817年の条例で白漆喰塗装が禁止されたのが始まりとされています。ほかにも、船乗りが港で建物を識別しやすくするためや、当時の建築材料(貝殻石灰)の特性なども有力な背景として指摘されています(いずれも諸説あり)。

「パピアメント語」

キュラソーには、独自の言語であるパピアメント語(Papiamentu)があります。アルバ・ボネール・キュラソーの共通語で、ポルトガル語・スペイン語・オランダ語・アフリカ系言語のクレオールです。

「キュラソー」 ── オレンジリキュール

そして、世界的に有名なリキュールがキュラソー酒です。キュラソー島原産の苦オレンジ(Laraha)から作られ、青い色のブルー・キュラソーが最も有名で、カクテルの定番となっています。

国の名前が、世界中のカクテルバーで知られている。これがキュラソーの世界的な認知度です。

「ダッチ・カリビアン」

キュラソーは、オランダ語圏のカリブ海に属します。アルバ・ボネール・シント・マールテンなどと共通して「Dutch Caribbean」として知られ、観光業がGDPの主要部分を占めています。


まとめ:2つの島、5大陸の起源

今回のキュラソー旗のまとめです。

  • 青(広め、5)・黄(細い、1)・青(中、2)の横三色、左上に2つの白い5角星(大小)
  • 1984年7月2日に正式採択(毎年7月2日はキュラソーの旗の日)
  • 2,000件以上の国民コンテスト応募から選定
  • 青(上)は空、黄は太陽、青(下)はカリブ海
  • 大きい星はキュラソー本島、小さい星はクライン・キュラソー(無人の小島)
  • 各星の5つの先端は5大陸(多民族・多文化のキュラソー人)
  • 2010年10月10日、オランダ領アンティル解体でオランダ王国の構成国に
  • ABC諸島(アルバ・ボネール・キュラソー)の1つ
  • 首都ウィレムスタッドは17世紀オランダ植民地都市、ユネスコ世界遺産
  • カラフルな建物で有名
  • パピアメント語(カリブ海クレオール)が共通語
  • 国名にちなんだリキュール「キュラソー酒」(ブルー・キュラソーが有名)
  • 面積約444km²、人口約15万人

カリブ海の青と、2つの島の星。キュラソーの旗は、カリブ海に浮かぶオランダ王国構成国のシンプルな自然と人々を、2,000件の応募から選ばれた民主的なデザインで表現した1枚です。