黒地に、白い十字。コーンウォールの旗、聖ピランの旗です。イギリス南西の先端、ケルトの文化を受け継ぐ地域の旗です。白い十字は、黒い鉱石から立ちのぼる白いスズを表します。そしてブルターニュの旗を白黒反転した姿でもあります。ウェールズやマン島、ブルターニュと並ぶケルトの民の旗。今回はそんなコーンウォールの旗の話です。
まずは構成のおさらい
コーンウォール旗の構成は、次のとおりです。
- 背景:黒
- 中央:白い十字
色とシンボルの意味は、以下のとおりです。
- 黒:黒い鉱石
- 白い十字:黒い鉱石から立ちのぼる白いスズ
- 由来:スズ鉱夫の守護聖人、聖ピラン
黒地に白い十字という、シンプルで力強い1枚です。イギリスでも最も古い地域旗の1つです。
「黒い鉱石から、白いスズ」── スズ採掘の旗
コーンウォール旗の、最も大切な物語を見ていきます。
聖ピランの伝説
この旗は、5世紀の修道院長・聖ピランに由来します。聖ピランは、スズ鉱夫の守護聖人です。伝説によれば、ピランが黒い炉石(暖炉の石)を使ったとき、中のスズが溶け出して、白い十字の形で表面に立ちのぼったと伝えられます。こうしてピランがスズの精錬を「再発見」した、だから黒地に白い十字なのだといいます。
黒い鉱石(黒地)から、白いスズ(白い十字)が立ちのぼる、採掘の地ならではの美しいシンボルです。コーンウォールはスズと銅の採掘で栄えた地域です。
「ブルターニュの旗の、白黒反転」
コーンウォール旗の、ケルトとの繋がりを見ていきます。
ブルターニュ旗の鏡像
聖ピランの旗は、ブルターニュとつながっています。聖ピランの旗は、古いブルターニュの旗(白地に黒い十字)を白黒反転した姿なのです。中世に、コーンウォールの人々が親しんでいたブルターニュのデザインに着想を得たと考えられています。
白地に黒十字のブルターニュと、黒地に白十字のコーンウォール。海を挟んだケルトの2地域が、反転した旗を持つという、美しい対の関係です。
ケルトの6民族
コーンウォールは、ケルトの一員です。ウェールズ・スコットランド・アイルランド・マン島・ブルターニュと並ぶ「ケルトの6民族」の1つで、コーンウォール語(ケルノウェク)はケルト系の言語です。
イングランドの一部でありながら、ケルトの言語と文化を受け継ぐ地域、それがコーンウォールの個性です。
コーンウォールという地域
コーンウォールの基本情報です。
- 正式名:コーンウォール(Cornwall、コーンウォール語:Kernow)
- 行政の中心:トゥルーロ(Truro)
- 面積:約3,500km²
- 人口:約57万人
- 公用語:英語(コーンウォール語も復興)
- 法的地位:イングランド(イギリス)のカウンティ
「ケルノウ」── 車のステッカーの旗
聖ピランの旗は、現代のコーンウォールの誇りです。「Kernow(コーンウォール語でコーンウォール)」の文字とともに、車のステッカーでよく見られます。世界中のコーンウォール系移民(ディアスポラ)の象徴としても使われています。
「聖ピランの日」
3月5日は聖ピランの日で、コーンウォールの祝日となっています。
「スズ鉱山と、アーサー王と、パスティ」
コーンウォールの文化も豊かです。コーンウォールの鉱山は世界遺産に登録されています。ティンタジェル城はアーサー王伝説の地として知られます。ほかにも、イングランド最西端のランズエンドや、コーニッシュ・パスティ(パイ)が有名です。
まとめ:黒い鉱石と白いスズ、コーンウォール
今回のコーンウォール旗のまとめです。
- 黒地に白い十字(聖ピランの旗)、イギリスで最も古い地域旗の1つ
- 黒は黒い鉱石、白い十字は黒い鉱石から立ちのぼる白いスズ
- 5世紀の修道院長・スズ鉱夫の守護聖人、聖ピランに由来
- 伝説では、ピランの黒い炉石からスズが溶け出し、白い十字の形で表面に立ちのぼった(スズ精錬の再発見)
- 最古の記録は1838年(コーンウォールの標準旗)
- 聖ピランの旗は、古いブルターニュの旗(白地に黒十字)を白黒反転した姿
- 中世にブルターニュのデザインに着想を得たと考えられる
- ウェールズ・スコットランド・アイルランド・マン島・ブルターニュと並ぶ「ケルトの6民族」
- コーンウォール語(ケルノウェク)はケルト系の言語
- 「Kernow」の文字とともに車のステッカーで見られ、世界のコーンウォール系移民の象徴
- 3月5日は聖ピランの日(祝日)
- スズ鉱山は世界遺産、ティンタジェル城はアーサー王伝説、ランズエンド、コーニッシュ・パスティ
- 面積約3,500km²、人口約57万人、行政の中心トゥルーロ
黒い鉱石から、白いスズが立ちのぼる。コーンウォールの旗は、スズ採掘の地のケルトの誇りを、聖ピランの伝説に込めた1枚です。