明るい水色(ラークスパー・ブルー)の地に、左上の赤い4角星(白縁取り)と、下半分の2本の細い黄色い横線。アルバの旗は、カリブ海南部にあるオランダ王国の構成国の旗です。旗章学の権威ホイットニー・スミスが部分的にデザインしたという、旗章学的にも有名な1枚。今回はそんなアルバ旗の話です。


まずは構成のおさらい

アルバ旗の構成は、次のとおりです。

  • 背景:ラークスパー・ブルー(国連旗の青に合わせた水色)
  • 左上:赤い4角星(白縁取り)
  • 下半分:2本の細い黄色い横線

色とシンボルの意味は、以下のとおりです。

  • 水色:アルバを取り囲む海であり、国連旗の青と意図的に同じ色合いにしています
  • 黄(2本の線):かつての主要産業だった金鉱業を表し、オランダ王国からの自由・独自地位も意味します
  • 赤い4角星:コンパスの4方向を示し、世界中から人が集まる島と、アルバ人の純粋な心を表します
  • 白縁取り:アルバの砂浜

オランダ王国の一員でありながら独自の旗を持つという、海外領土・構成国旗の典型です。


1976年3月18日 ── アンサム・フラッグ・デー

アルバ旗が正式に採択された経緯を見ていきます。

1976年3月18日

1976年3月18日、アルバ旗とアルバ国歌(Aruba Dushi Tera)が同時に正式採択されました。当時はまだ、オランダ王国のオランダ領アンティルの一部だった時代です。以後、毎年3月18日はアンサム・フラッグ・デー(Anthem and Flag Day)として祝日になっています。

1986年、独自地位

1986年1月1日、アルバはオランダ領アンティルから分離します。オランダ王国内の独立した構成国となり、「Status Aparte(独自地位)」を獲得しました。

1976年に旗を制定し、1986年に独自地位を獲得する。アルバは10年かけて独立性を高めていきました。


ホイットニー・スミス ── 旗章学の権威

アルバ旗のデザイナーのひとりが、ホイットニー・スミス(Whitney Smith、1940-2016)です。

旗章学の父

スミスは、現代旗章学(Vexillology)の創設者です。1958年に「Vexillology(旗章学)」という言葉を造語し、1962年にはFlag Research Centerを設立しました。そして、多くの国旗・領土旗のデザインに関与しています。

ガイアナ国旗、ボツワナ国旗、アルバ旗など、世界中の旗を設計したことが、ホイットニー・スミスの偉業です。

旗章学の権威が自ら旗をデザインするというのは、世界の旗のなかでも珍しい例です。


アルバという領土

アルバの基本情報です。

  • 正式名:アルバ(Aruba)
  • 首都:オラニエスタッド(Oranjestad)
  • 面積:約180km²
  • 人口:約11万人
  • 公用語:オランダ語、パピアメント語
  • 法的地位:オランダ王国の構成国

「ABC諸島」

アルバは、ABC諸島の1つです。Aがアルバ(Aruba)、Bがボネール(Bonaire)、Cがキュラソー(Curaçao)を指します。カリブ海南部、ベネズエラ沖に浮かぶこの3島は、観光地として有名です。

「パピアメント語」 ── 独自のクレオール

アルバには、パピアメント語という独自の言語があります。これはポルトガル語、スペイン語、オランダ語、アフリカ系言語が混ざり合ったクレオール言語で、アルバ・ボネール・キュラソーの共通語です。カリブ海唯一の主流ロマンス語系クレオールとも言われます。

「One Happy Island」

アルバの観光ブランドは、「One Happy Island」です。年間300日以上の晴天に恵まれ、カリブ海でも特に安定した気候を誇ります。

「金鉱の歴史」

アルバの過去の経済を支えたのは、金鉱業でした。19世紀には金鉱業が盛んで、国旗の黄色い2本の線がそれを象徴しています。現在は観光業が中心です。


まとめ:旗章学の権威がデザインした旗

今回のアルバ旗のまとめです。

  • ラークスパー・ブルー(水色)地に、左上の赤い4角星(白縁)、下半分の2本の黄色い線
  • 1976年3月18日、アルバ旗と国歌が同時に正式採択(毎年3月18日はアンサム・フラッグ・デー)
  • 部分的なデザイナーはホイットニー・スミス(旗章学の権威)
  • 水色は海(国連旗の青に合わせた)、黄は金鉱業とオランダからの自由、赤4角星はコンパスの4方向と世界からの人々、白縁はアルバの砂浜
  • 1986年1月1日、オランダ領アンティルから分離し、オランダ王国内の構成国に
  • ABC諸島(アルバ・ボネール・キュラソー)の1つ
  • 面積約180km²、人口約11万人
  • 公用語はオランダ語とパピアメント語(カリブ海唯一の主流クレオール)
  • 「One Happy Island」の観光ブランド、年間300日以上晴天

水色の海と、コンパスの4方向の星。アルバの旗は、旗章学の権威がデザインしたカリブ海の構成国旗として、知的な精密さを持つ1枚です。